「カルト村で生まれました。」の続編です。
前作はとても衝撃的で、こんな世界があるのか…とショックを受けっぱなしでした。
今作はその世界観を知っているので前作よりは衝撃が少ないものの、
衝撃の種類がちょっと違う気がします。
日常生活に漂う怖さ
前作では体罰は当たり前とか、常にお腹が空いていたとか、
肉体的なつらさが表立っています。
一方今作では、世話係や親に追いつめられるような、
精神的なつらさを感じます。
一種のマインドコントロールではないかと思えるようなことでも、
決して我々がイメージしているような洗脳みたいなものではなく、
日常に溶け込んでいる様子です。
そのことがかえって怖さを倍増させます。
ほかの人のレビューを読んでいたら、
「字がきれいすぎて怖い」というのがありました。
たしかにかなり整った字を書いています。
これが村の教えなのか、たまたまなのかわかりませんが、
字の美しさまで怖く感じさせる本というのがすごいです。
カルト村を出た後
結局作者は19歳のとき、自分の意思でカルト村を出ることになります。
村を出ることになったいきさつも書かれていますが、
思ったよりはすんなり出られるものなのだなぁと思いました。
夫のふさおさんと出会ったきっかけについては、
描かれているふさおさんの顔からは想像できないようなツールだったので
「こういう人もいるのか…」と思ってしまいました。
この本は村であったことを淡々と描いているだけで、
多少の愚痴はあるものの、強く批判している感じではありません。
本人によっては日常生活だったわけで、
そんなにひどい暮らしではなかったようにも見えます。
しかし本に描いていることが全てというわけではないので、
何か描けないこともあったのではないかな~と思ってしまいました。
知らない世界のことを知る
我々が知らないだけで、
こうした特殊な世界に生きている(た)人はたくさんいるのでしょう。
作者の通っていた中学校は生徒の3割が村の子どもだったそうで、
その学校にいたら村のことを身近に感じていたと思います。
しかしわたしはまったく村のことを知りませんでした。
高田かやさんが本を出してくれたことで、
その世界を垣間見ることができたわけです。
単なる興味本位ではありますが、
こういう世界の存在を知っただけでも大きな収穫だったと思います。