カルト村で生まれ育ったという高田かやさんのコミックエッセイ。
壮絶な内容をほのぼのタッチの絵柄で描き綴っています。
ネットで検索するとどういう団体なのか特定されています。
わたしはこのような団体があることすら知らなくて、とても驚きました。
「怖い」「ヤバい」「かわいそう」と言うのは簡単ですが、
そんな言葉では言い表せないような、深い闇があるのを感じました。
となり町戦争を思い出した
洗脳とか教祖とかいう宗教めいた描写は一切ありません。
しかし全体を通して、これが宗教なのだろうと感じさせる本です。
なんとなく小説『となり町戦争』を思い出しました。
通常の戦争物のように人が死ぬような描写は一切ないのに、
これが戦争なのだろうと感じさせる本でした。
しかし『となり町戦争』はフィクションなのに対し、
この『カルト村で生まれました。』はノンフィクションなわけです。
作者の方はどういうつもりで発表したのか、その真意はわかりません。
団体側から報復されないのかとても気になります。
続編も描いていらっしゃるようですし、
そのあたりは何とかなっているのでしょうか。
「普通とは何か」問題
この本を読むと普通の家庭で生まれ育って良かったーと思ってしまいます。
作者の方も現在はカルト村とは縁のない男性と結婚して楽しく生活しているそうで、
そこには救いがありました。
しかしながら村の子どもたちから見れば村の生活が普通であって、
村を出ることが必ずしも幸せとは限らないのかもしれません。
本当にいろいろなことを考えさせられる、衝撃的な本でした。