御嶽山のお鉢で噴火に遭った小川さゆりさんの著書です。
その場に居合わせないとわからないことが書かれています。
中でも印象に残ったのは「軽トラック大の噴石が飛んできた」というもの。
まったく想像がつきません。
この本で一番よく伝わってきたのは、マスコミに嫌な思いをさせられたということです。
たくさんの取材に応じたものの、テレビや紙面を見ると正しいのは年齢だけで、ほとんどが曲解して編集されていたといいます。
小川さゆりさんは山岳ガイドで下見のために単独登山していました。
しかし「山岳ガイド」という肩書だけが報道されたため、ガイドが登山客を放って逃げたと誤解されて叩かれたそうです。
命からがら生き延びたのに要らない非難まで浴びるなんて、気の毒でたまりません。
それでも自分はその場にいた者として、体験を伝えていかないといけないという使命感から取材に応じているそうです。
そのため、自身の著書では間違いのないよう、人を傷つけないよう、言葉を選んでいる様子がよくわかります。
「運がよかった」と言ってしまうのは簡単だけど、それでは教訓にならないということで、非常時にとるべき行動について詳しく語っています。
わたし自身、山に登ることはありません。
しかしこういう噴火があって、多くの人が亡くなったということは、心にとどめておかないといけないと思いました。