大津市立図書館に置いてあった洞爺丸関連書籍はこれで最後です。
「洞爺丸はなぜ沈んだか」は新聞記者、「青函連絡船ものがたり」は通信士の著書ですが
「洞爺丸沈没32年目の真実」は当時大雪丸船長だった福井ケイ喜(ケイは金へんに圭)さんの著書です。
福井さんは静岡県出身、国鉄退職後も静岡県に住んでいたということで
静岡県出身のわたしは親近感が湧きました。
洞爺丸が助かる道
福井さんは審判で「洞爺丸は踟蹰(ちちゅう)したら助かった」旨の発言をしたものの、
国鉄に言われて発言を撤回しています。
数年後に再び自説を週刊誌に発表し、OB会から除名されたという後味の悪い話も載っていますが
ご本人は「判る人にだけ判ってもらえば良い」と考えていらっしゃったそうです。
踟蹰とは錨を入れずに波に任せて進む方法で、洞爺丸の行った投錨とは対照的な走法です。
投錨せずに思い切って青森に向かっていたら助かったのではないかという説を展開しています。
近藤平市船長のこと
海難審判では洞爺丸を出港させた近藤船長の過失が問われることになりましたが
福井さんが言うには近藤船長に罪を擦り付けただけとのことでした。
近藤船長はとてもいい人だったと書かれています。
本当の近藤船長のことはもう知るすべがないわけですが、
関連著書を読みながらどんな人だったのかなと思いを馳せています。
事故の話以外のこと
洞爺丸事故だけでなく、商船学校での厳しい訓練のことや
樺太からの引き上げ船に乗っていた時のことなど、
いろいろなエピソードが書かれています。
命がけで船に乗っていたことがよくわかりました。