元宝塚歌劇団花組のあうら真輝こと東小雪さんの著作です。
以前、東京ディズニーリゾートで
女性同士の結婚式を挙げたことで話題になっていました。
この本にはこれまでの彼女の人生について書いてあります。
だいぶ重い内容ですが怖いもの見たさで読んでしまいました。
たとえば「事実をもとにしたフィクションです」
といった体裁で発表することもできたと思うのですが、
自伝という形で発表したことに筆者の覚悟を感じました。
実父から受けていた虐待のことや
セクシャルマイノリティであることが主題になっていますが、
これまで知り得なかった宝塚音楽学校の内情についても書かれています。
わたしは宝塚ファンなのでそこが一番興味深かったです。
宝塚を夢の世界だと思っていたい人は読まないほうが良いでしょう。
具体的には本科生が予科生に対して行う「指導」について
筆者は暴力という言葉を使って表現しています。
壮絶な予科生時代をくぐり抜けて、
本科生になったら加害者側に回ってしまう現実についても
詳しく書かれています。
本文中、タカラジェンヌについては名前が出てきません。
しかし「娘役トップになった同期」とか、「一番委員」とか、
ファンが見るとピンとくることでしょう。
彼女は初舞台から1年と少しで退団してしまいます。
そのいきさつについても書いてありました。
同期との折り合いが悪かったみたいですが、
花組の91期と言えば…とだいたい見当がついてしまうので
その後の関係はどうなのだろうと気になってしまいます。