福知山線脱線事故から10年。
あの電車に乗っていた方と、その家族の方の手記です。
一人一人がそれぞれの2005年4月25日を綴っています。
大学に行く人、会社に行く人、遊びに行く人…
電車というのは思っている以上に
たくさんの人を乗せて走っているのだと思い知らされました。
文章が上手な方もいれば、
あまり得意ではないと思われる方もいます。
文章だけでも目をそむけたくなるような凄惨な場面もあって、
現場にいた人はどれほど辛かっただろうと思ってしまいます。
多くの人が事故直後「車内で人が積み重なっていた」と書いていますが
体験していない者としてはどうしてもピンときません。
重傷を負った方、ほとんど無傷だった方とさまざまです。
事故のことを積極的に語りたい人もいれば、語りたくない人もいます。
生き残ったことについても罪悪感を持っていたり、
前向きな気持ちを抱いていたり、
人によって十人十色、一つとして同じ感想がないことがわかります。
これは事故から2年後に出版された本ですが、
いま被害者の皆さんは元気で暮らしているのでしょうか。
読み終わった後にそんなことを思いました。
福知山線の事故のニュースを聞くと、
現場で救命救急にあたったお医者さんが
その後事故の経験を買われて過重な勤務を強いられたうえ
同僚等からの中傷もあって追い詰められた挙句
自殺してしまったという悲しい話も思い出します。
こういう誰も幸せになれないような事故が
二度と起こらないようにと願ってやみません。