あきらめない-働くあなたに贈る真実のメッセージ

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あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ (日経WOMANの本)

当時厚生労働省の官僚だった村木厚子さんが自ら半生をつづった著書です。
公務員になるきっかけから、これまでにかかわった仕事、逮捕・拘留のことが書かれています。
とても面白かったので、長文感想です。

国家公務員としての村木さん

この本を読んでいると、本当に普通の公務員だったんだということがわかります。
わたしも公務員だった時期があって、しかも健康福祉関係だったので厚生労働省とも関係がありました。
あのころの厚生労働省に村木さんがいたのだなぁと思うと不思議な気持ちになります。

村木さんは一生働き続けられるように公務員を選んだといいます。
腰掛け公務員だったわたしはなんだか申し訳ない気持ちになってしまうのですが、ここで萎縮するのではなく、自分にもできることを考えていくことが大事なのだと思いました。

逮捕されて有名に

村木さんのことを知ったのは逮捕のときで、無罪になったことは知っていても「火のないところに煙は立たないって言うし、何かしたんじゃないの?」と思っていたのですが、本当に全く火のないところに煙をたてられたことがわかりました。

しかも公務員の異動というのはランダム要素も大きいので、ちょうどその時期にそのポジションにいたというだけで大きな事件に巻き込まれてしまったのだと思います。
しかし事件がきっかけで村木さんは全国の人に知られるようになり、「普通の私でもここまでやってこられるということを伝えるきっかけができた」ととらえたそうです。
たしかに単なる官僚のひとりとして務め上げていたら、わたしがこの本を手に取ることもなかったでしょう。

普通だけど普通じゃない

ご自身が普通と思っているだけで、普通ではない努力をされたことは伝わってきます。
2歳の子どもを連れて単身赴任するというのは、わたしには絶対にできないだろうと思ってしまいます。

子育て中はタクシーで通勤していて、その他いろいろな費用で自分のお給料がほとんど消えていたのだとか。
だからといってそこを誇張するふうでもなく、淡々と書いているのがとても面白いです。

拘置所での暮らし

拘置所でのようすは堀江貴文さんの「刑務所なう。」を思わせました。
簡素な食事で痩せて肌がきれいになったのだそうです。
「刑務所なう。」と同様読んだ本リストもついていて、読書ぐらいしかすることがないのだろうなぁと思いました。

堀江さんは刑務所のしきたりが堅いことを愚痴っていましたが、村木さんは同じ公務員だけあって同じ視点で心配していたのが面白かったです。
大阪の拘置所だったせいかラジオで阪神のナイター中継をやっていて、それがきっかけで阪神ファンになったというくだりには「なんかすごいな」と思ってしまいました。

面白い本でした

その後村木さんは厚生労働省の事務次官になっていたのですね。
2016年現在、厚労省を退職して企業の社外取締役になっているそうですが、ほかにも引く手あまたなんじゃないでしょうか。

「いつまでも働き続けたい」という夢をかなえている姿には感服するばかりです。
「人生はなにがあっても面白い」という村木さんの言葉が心に残る本でした。

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